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若者移住考vol.6〜衝撃的な秘境。池田暮らしは面白いに違いない〜

塚さんのプロフィール写真

今月もやります、若者移住考シリーズです。

 

池田にいる若者移住者は、なぜ池田に来ることを選んだのか?

 

若者移住者ひとりひとりに出会いながら、ことばを交わすことで、その疑問を深ぼっていく。

若者移住考シリーズ、第6弾。

今回は、9月に池田へ引っ越したばかりの塚竜之輔(つかりゅうのすけ)さん。(以下「塚さん」)

 

 

 

 

塚さんは、2022年に石川県から福井に引っ越し、現在は、鯖江市でメガネのデザイナーとして働いています。

 

塚さんが、池田に移住してきたのはつい最近の9月頭のこと。

 

 

 

 

どうしてここへたどいついたのでしょうか?

ここに住む決め手は何だったのでしょうか?

 

少しばかり、お時間を共にしましょう。

 

 

鯖江で暮らした約1年間。合理性と不満のはざまで

 

塚さんは、大阪府出身。金沢美術大学でデザイナーになるための勉強をした後に、就職のタイミングで鯖江に居を移します。

鯖江で始まった新生活は、どのようなものだったのでしょうか。

(以下、インタビューイ:塚さん インタビュアー:まりこ)

 

 

まりこ:金沢美大を卒業してから、鯖江に来たのはいつですか?

 

塚さん:2022年の5月。美大の就活って結構特殊で、入社が決まってから1週間で引っ越しました。

 

まりこ:鯖江のお家は、会社の近くだったの?

 

塚さん:うん。車を持ってなかったのでチャリで通える場所で。

 

まりこ:鯖江生活はどうだった?

 

塚さん:物足りなかったですね。都会より田舎の方が好き。都会はどこも似てて、同じで、田舎の方が噛み応えがあって好きですね。

 

まりこ:何が物足りなかった?

 

塚さん:プライベートが物足りなかったですね。大学生活が強烈だった分、刺激が少なかった。会社に同年代がいないし、友達が少なくて。そしたら、池田があまりにも魅力的で来ちゃいましたね。

 

塚さんが鯖江市で住んでいたお家の近所、神明神社
塚さんが鯖江市で住んでいたお家の近所、神明神社

まりこ:なかなかパンチの効いたコメントだね。

 

塚さん:いやでも、福井に来てから最初の拠点としてとても良かった。鯖江だったから、車の運転免許も取れたし。最初から池田だったらそれはできない。

 

 

 

福井住みの最初の拠点としての鯖江は、とても合理的に暮らすことができた。しかし一方で、物足りなさを感じていた...

 

もともと田舎志向があったという塚さん。

鯖江の友達からの、ひょんなお誘いで池田町と出会うことになります。

衝撃的な秘境!「他じゃできないこと」がここにある

 

2022年11月。塚さんは、友達のお誘いで初めて池田町へ。

どんなきっかけだったのか?池田の第一印象は?その時のことを聞いてみます。

 

 

まりこ:初めて池田町に来たきっかけは何だったんですか?

 

塚さん:楮(こうぞ)の収穫と皮はぎですね。

 

まりこ:えらいディープなところから入ったね!笑

 

 

どどん!少し休憩。

「楮の収穫と皮はぎ」の補足説明をば。

池田では、休耕田を活用して、和紙の原料である楮(こうぞ)を育てています。

この活動を始めたのは、隣町の和紙作家さん。原料の栽培を復活したいとの思いで、活動を続けられています。

 

その活動の一環で、11月末に楮の収穫と、楮の皮はぎ(皮の部分が和紙の原料になる)があります。

この日は特に人手が要るため、多方面から関心のある人が集まって作業するのが毎年恒例です。

そんなディープな活動が、塚さんにとっての初池田だったと言います!

 

楮を蒸して、皮を剥ぐ。
楮を蒸して、皮を剥ぐ。
楮の皮がたくさん写っている写真

まりこ:その時初めて池田町に来て何を思った?

 

塚さん:もう衝撃的でした。輝いてましたね。本当に空気も水も綺麗で。その日晴れてて、とにかく景色が美しくて。車で40分で、ここに来れるんだったら鯖江よりいいかもなって。その時にここ住めたらいいなってちらっと思ってました。

 

まりこ:衝撃的だったのは、やっぱり景色の美しさ?

 

塚さん:そうです。ナビ通り行ったらうねうね道だったんですよ。初心者マークなのに、なにこの危ない道!?みたいな。抜けた瞬間、こ〜〜〜っと広がってて。秘境に来たっていう感覚があった。最初の印象としては、とりあえず美しい。そこから楮の活動とか、うみのいえ(*池田にある自給自足実践の場)とか、面白い活動をやってる人たちがいるなって。そうした活動に共感できる部分もありましたね。

 

 

初手、山道を通って来たという塚さん。

道を抜けて、初めて池田町と出会った時の感動が伝わってきます。

 

その後、楮をきっかけとして池田に繋がりができ、塚さんは池田に何度か通うようになります。

住むことを本格的に考え始めたきっかけは、2023年5月に池田町のお家で開かれた小さな食事会に参加した時のこと。

そこで新しい人と出会い、池田町の住まいの情報も手に入れたことが大きかったと言います。

 

 

まりこ:池田入門編が2022年11月の楮だとしたら、いろんな人と出会って町営住宅の選択肢を知った2023年5月が、第2段階かな?

 

塚さん:そうです。家がないと思ってましたね。町営住宅がなかったら池田に住むのはありえないけど、町営住宅があるってことは受け入れようとしているっていうことじゃないですか。そういう姿勢があることを知らなかったし。意外といろんな人がいて、若かったりして。池田に住む面での池田の価値観はそこでだいぶ変わって、これで住めるって思った。

 

 

町営住宅の存在が決め手になったようです。

塚さんが池田に来た背景には、池田の住宅面における情報を得たことと、鯖江生活に満足していなかったということが見えてみました。

それらを背景として、どうして池田に住んだら面白そうだと思ったのか、深掘って聞いてみました。

 

 

くさびで木を割る写真
塚さんの最近めっちゃ面白かったことは、くさびで木を割ったこと。

塚さん:すごく楽しい場所って思ってます。自然が身近で、いろんな体験ができて、変な人がいっぱいいて、突きつめてて。他じゃできないことがたくさんできる。えげつない体験ができるのが魅力で。池田に行ったら、絶対面白くなるとは思ってたんです。

 

 

池田だからこそできること、池田だからこそ出会える人に魅力を感じていた塚さん。

一方で、池田に移住することに対して不安も抱えていたと言います。

 

 

塚さん:でも不安だったのは、七ヶ条とかマイナス面。僕もガサツだったりするので、人付き合いうまくいかなかったりしたらとか。あとは、会社に通えなかったらマジで話にならないなとか。他にも、冬越せるかまだ不安だけど。

 

まりこ:冬に関しては、町営は大丈夫だと思うけど。

 

塚さん:みんなそう言う。除雪がガレージの近くまで来なかったら、住まないとか本当にあったかも。

 

まりこ:住むにあたって、人間関係の不安は自分の中でどう納得させましたか?

 

塚さん:そこは見切り発車ですけど。清野くん(*1年半前に池田に移住してきた若者。インタビュー記事はこちら)が生きていけるなら僕も生きていけるかなって笑 あと、町として意外と受け入れようとしてるんだなっていうのが大きかったですね。除雪してくれるし、薮田区(*町営住宅が位置する集落名)としてのサポートもあるなら全然大丈夫だなって。

 

 

不安はありつつも、町に移住者の受け入れ姿勢を感じられて移住に踏み切り、始まった池田生活。

住み始めて三週間(*取材当時)、どうだったのでしょうか。

 

 

まりこ:どうですか3週間?

 

塚さん:みなさんに感謝。暖かく受け入れて下さって感謝しかなくて。

 

まりこ:生活面はどうですか?

 

塚さん:ゴミを捨てられてなくて笑 ここでちゃんと怒られずにゴミ出すのが目標です。

 

まりこ:仕事場が鯖江で、池田に帰って来て感じることとかある?

 

塚さん:めっちゃありますよ。朝とか霧が出てるじゃないですか。あれもめっちゃ綺麗で。

 

まりこ:じゃあふとした瞬間も綺麗だなと思って生きてるのね〜。今後やっていきたいこととかありますか?

 

塚さん:まずは池田のこと、もっともっと知っていきたい。あと、池田暮らしをガツガツ楽しんでる人と仲良くなりたいです。そのうち、ちょっとずつ自分の得意なところが活かせて、こき使ってもらえるなら嬉しいですね。

 

 

 

鯖江の職場へ通いながら、池田にいるからこそできることを存分に楽しんで暮らしていきたい。

そんな願いを持って、ここにやってきた若者がいました。塚さんの池田町ライフが濃厚なものになりますように。

 

 

ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

 

 


【若者移住考の概要】

 

いま若者の地方移住が社会現象化しているといわれています。

若者の地方移住に関するイメージや、言説が増えてきているとも言えるでしょう。

 

そんな若者の地方移住を、ミクロでみてみる。

ミクロでみて考えると、何が浮かび上がってくるのか?

ミクロのストーリー(個々人の移住に関するあれこれ)が集積した時に、立ち上がってくる「若者の地方移住」とは何なのか?

 

 

個と社会は切っても切り離せません。

誰かの移住の話は、いち個人の話であると同時に社会の話であると思っています。

 

どうして池田町に移住してくるのか?

ぼやけた社会現象としての若者移住ではなく、リアルで息づかいの聞こえる移住を語れるように。

 

若者移住「考」の主語は、書き手である私であり、読み手であるあなたです。

 

 

(そのうち「若者」を外して記事を書こうかなって考えちう・・・)

 

 

 

 

【これまでの若者移住考シリーズ】

 

Vol.1 TO BEを求めてここへ来たわたしの話

 

Vol.2 マムシを捌くのは朝食前の清野慎太郎さんの話

 

Vol.3 福井の中の異国へ。県内移住の北條はるのさんの話

 

Vol.4 直線的移住のあり方、あそびばプロジェクトのまっちゃんの話

 

Vol.5 木育施設に一目惚れ、ちゃっきーさんの話


まりこ

(本名 川上真理子)

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大都市で24年間をTO DO(したいこと)ファーストで

生きてきて、大学3年の時に自分の在り方の大切さ

に気づく。

 

ご縁がありたまたま出会った池田町での

素朴で等身大な人や自然に惹き付けられ

大学院卒業後、新卒無職で池田に移住。

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現在の活動はこちら👇

 

●池田町見習い人(めざせ何でも屋)

●ローカルとジェンダーに強いライター

 

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好きな食べ物)ちんころいも※池田町限定
現在、畑仕事や古民家改修により筋肉強化中。