「身体論」って聞いたことありますか?
学術用語ですがざっくり言うと、とても身近な「身体」について様々な角度から考えていくことです。
社会における身体はどのような価値づけ、意味づけがなされているのか?
身体と心の関係性は、どのように描けるのか?
そんな問いを立てながら、身体について考えていきます。
(ちなみに、数学とか歴史学みたいな〇〇学は、学問としての体系が確立されているものを指すのに対して、〇〇論はまだ系統立っていないものを指します)
身体論なんて、学生時代の授業を受けるだけで終わったと思ったら・・・。
池田町で暮らしていると、改めて池田町における身体論を考えざるを得なかった!!というブログです。どーん!
某日、池田町にて。
「まりこちゃんは、足の握力がないね」
剣術を極めた方が、私の歩く姿を見て、言ったひとこと。
「足の・・・?握力・・・?」
とりあえず情報量が多い。
歩いていただけなのにどうしてわかったのか?足の握力とは??はてなの連発。
握力は、手にしかないと思い込んでいた私にとって、その言葉はやや衝撃的でした。
むかしの日本人は、地を足の指でつかんでいたんだよ。重い物も持てたし、長距離移動もできた。
けれども、日本が戦争に負けて、身体の西洋化を経たこんにち、その身体の使い方はほとんど忘れられている。
その方が続けておっしゃったのは、そんなお話でした。
この話を聞いて、私は思い出した写真がありました。
いつだったか、インターネット上で見たことがあった写真。
山形県の庄屋地方で、米俵を担ぐ女性たちです。
むかしの女性はこんなことができたのか・・・・!?と驚かずにはいられません。
これは、やはり筋肉量では説明がつかないでしょう。
身体の重心を捉える力、地をつかむ足の握力があって、支えることができる。
そんな風に解釈できないでしょうか。
他にも、4人の子どもを樽に入れて持ち上あげている女性の写真(左)や、
1日300km程移動していたと言われる飛脚(運送する人)の写真(右)が残っている。
いったいどんな身体していたんだ・・・!?
その謎を読み解くひとつの視点が、足の握力というわけです。
足の指で地をつかむためには、母指球(親指の付け根のふくらみ)が大事だそうで。
要は、つまさきに重心がいきます。
それに気づいた私は、毎回靴をダメにする時はかかとからであることを、そっと心にしまっておきました。
かかと重心とつまさき重心、あまりにもちがう世界だ・・・!
足の握力がある世界とはどんなものやと気になってしょうがない。
「足の握力をつけるためには、どうしたらいいですか!?」と聞いたら「足袋はくといいよ」と。
鼻緒をつかむので、必然的に足の握力につながるそうで。
早速、コメリへ車を走らせます。
コメリには、作業用の地下足袋が売られているのを見たことがあったぞ・・・。
やっぱり、ありました!
どうでもいい余談ですけど、これいくらだったと思いますか?
な、なんと、200円。(笑)
本来は2000円前後するのですが、多分女性サイズは売れないんでしょうね。
めっちゃ安くなっていたのです。女性サイズが欲しい方は、今度コメリで見てみてください(笑)
さて、外履きは完璧。次は内履き。もちろん室内でも鍛えたい。
そう思って、今度は町内の草履生産者のおうちへ突然訪問。
ステキでしょう〜〜〜〜〜〜〜!
池田には、草履を作れる方がおひとりだけいて、その方が古着物の布を使って写真のような草履を作っておられるのです!
ステキすぎて選べずに、2色ゲット。
お買い物中も面白い話を聞くことができました。
まず草履は、足の指が草履から突き出した状態で履くものだということ。いま多くの人が履いているサンダルやビーサンとは異なります。
また、草履を購入したお客さんの中には、草履を履いてから冷え性が治って冬でも裸足でこれを履いている。という方がいらっしゃるそうです。
足の指が鍛えらる続けるから、血のめぐりもよくなるのか・・・!?って思いました。すごい・・・すごいぞ草履・・・。
ちなみにこちらの草履は、福井市のこっぽいやか、池田町秋の食の文化祭(11月頭の土日)で購入することができます。
池田通な方は、私と同じく生産者のおうちへ突撃してみてもよいかも・・・。
足の握力強化実践を始めて、約1ヶ月。
まだまだかかと重心ですが、母指球に意識がかなりいくようになりました。
無理のない動きは、身体づくりがあってこそ。
土と共にある池田暮らしは、身体が資本です。
身体をいかに痛めず、動かすことができるか。これは切実な問いだと思っています。
力まかせにしてしまっては、よくない負荷がかかって腰をいためたり、筋肉をいためたり。
それよりも、重心をとらえて、その重心を移動できるような身体をつくっていくこと。その方が、無理がないのではないか。
そう思うようになってから、身体に対する意識が変わってきました。
鍬で畑を耕すときも、歩くときも、料理で包丁を使うときも。
今までは、割と筋肉とか力まかせにどうにかしようとしがちでした。が、
いま自分の身体の重心がどこにあるのか?どこに置けばいいか?を考えながら動くことが増えました。
例えば道具を使うとき。
鍬、チェーンソー、包丁、ピーラーなんでもいいです。間違った使い方をすると、やはり身体のどこかしらが痛みます。
けれども、道具が教えてくれる身体の使い方をすれば、身体に無理がない。
無理のない動きは、道具も痛めない。だから、道具が長持ちする。
道具に耳をすましてみると、無駄に力が入っている部分があることに気づかされます。
その度に、ああ道具ってよくできてんな〜と思うわけです。そりゃ自分が生まれるずっと前からあるもんね。
この世界を深掘ると、民藝とか、柳宗理とかそっちの世界に繋がっていくんだろうな〜なんてぼんやり思いつつ。
池田町暮らしは、身体を使う。
身体を使うということは、やっぱり身体に気を遣う。
なぜこの作業をすると身体のここを痛めるのか?とか、持ち方が変なんじゃないか?とか考えるようになる。
そんな風に身体のありかたを問うてみたら、西洋化を経る前の日本における身体のありようが鍵を握っていることがわかった。
身体づくりといえば、ジムに通いつめるイメージしかなかったわたし。
全く異なった身体づくりの世界が、池田町暮らしを通して広がってきたのでありました。
まりこ
(本名 川上真理子)
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大都市で24年間をTO DO(したいこと)ファーストで
生きてきて、大学3年の時に自分の在り方の大切さ
に気づく。
ご縁がありたまたま出会った池田町での
素朴で等身大な人や自然に惹き付けられ
大学院卒業後、新卒無職で池田に移住。
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現在の活動はこちら👇
●池田町見習い人(めざせ何でも屋)
●ローカルとジェンダーに強いライター
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好きな食べ物)ちんころいも※池田町限定
現在、畑仕事や古民家改修により筋肉強化中。