こんにちは、こんばんは。
「池田町風景解体新書」と題して、言葉にならない風景の魅力を探っていこうの回です。
私(まりこ)は池田町に惚れ込んで、移住してきたのですが
惚れ込んだ理由のひとつには「池田町の風景」があります。
学生時代に同じような農山村を10箇所くらい訪れたのに
なんで私は池田町の風景に心を鷲掴みにされたのか?
ずっと謎でしたが、それを紐解くいくつかのことが暮らす中でみえてきました。
書きたいと思いながらずっと温めていたネタです。どうぞのぞいていってくださいな。
セイタカアワダチソウの不在が語ること
池田町には、奉仕活動があります。
川の掃除、神社の掃除、泥上げなど。
秋頃、町から1枚のお便りが届きました。
「セイタカアワダチソウ一斉駆除デー」
どうやら、セイタカアワダチソウという植物を町全体で一斉に刈る奉仕活動があるようです。
この時、私はセイタカアワダチソウ自体を知りませんでしたので、町の人に聞いてみました。
外来種で、繁殖力が強いからすごく広まって、とにかく忌み嫌われている、と教わりました。
セイタカアワダチソウは、地下の根っこから、植物の生育を妨げる物質を発します。その威力はススキも負けてしまうほどだとか。
こうして、セイタカアワダチソウを認識するに至ったのですが、
少し経ってあることに気づきました。
「トンネル出たらセイタカアワダチソウばっかや!」
夏から秋にかけて。
町外へ出るトンネルを抜けると、セイタカアワダチソウがそこらじゅうに生えていることに気づきました。裏返すとこう。
「池田町ってほんとにセイタカアワダチソウ少ない!」
これは・・・あの・・・セイタカアワダチソウ一斉駆除デーのおかげ???
なんで町ぐるみで駆除する活動をやることになったのか・・・?
環境意識激高・・・?
むくむく湧いてくる疑問たち。
どうもこうも、池田町はほんとに私を飽きさせない。
気になったことは、確かめる。
セイタカアワダチソウ駆除の活動を取り仕切る団体のひとりに質問しました。
この活動はいつからやっているのか?なぜ始まったのか?
わかったことは、次のこと。
セイタカアワダチソウの駆除は、20年ほど前から取り組んでいるそう。
「外来種だし、喘息など体に悪い影響があるから取り組んだ方がいい」と、池田の学校に勤めていた先生の一言がきっかけで始まったそうです。
(セイタカアワダチソウの花粉が及ぼす人体への影響について、今は別の見解があるようです)
セイタカアワダチソウは、植物の多様性を壊してしまう可能性があり、景観を悪くしてしまうということで現在も活動が続けられています。
他にも話を聞く中でわかったことは、外来種のオオキンケイギクという植物も駆除していること(数が少ないので町ぐるみではない)。
毎年春に行われている奉仕活動「川のクリーン大作戦」は、福井市まで流れる足羽川の上流域である池田町が責任を持ってきれいな川にするために始まった活動であること。
「そうか、私が見てた池田町の景色は、誰かが誰かを想い、土地を想い、植物を想った景色だったんだ・・・」と気づかされたのは、去年の秋頃でした。
【余談コラム】
余談ですが、このセイタカアワダチソウ。
いろいろ活用できます。
花が開く前は、入浴剤になります。
茎は乾燥させて編むとザルになります。
花開いたあとは、草木染めもできます。
去年は、セイタカアワダチソウ一斉駆除デーに、社会協議福祉会さんで草木染めのイベントを行ってました!
忌み嫌われているけれども、活用次第で良いものにもなります。
手間をかけてつくられた風景
ある日、池田町住みのSさんと車で池田町を回っていた時のこと。
「ここ面白いよ〜」
そう言って止まったのは、広瀬集落の神社前。
池田町には33の集落があり、集落それぞれの神社を持っています。
どの神社も同じようなものはなく、集落ごとに個性があります。
写真は、広瀬集落の神社です。
鳥居をくぐると石段が続きます。
足をあげて転ばないように、石段を登っていきます。
するとSさんが、こう教えてくれました。
「この石段ね、手積みなんだって」
・・・!なんだって!?
たしかに、機械を使って積んだ感じはしません。
人の手で積み上げられた、ごつごつ感を足に感じます。
もう...!私は、たまらなくなって想像しました。
1つ持つだけでも腰をやってしまいそうな大きな石を、
集落の人たちで時間と手間をかけて運んで積み上げていった、ありし日の様子を。
いま私が見ているのは、手間をかけてつくられた風景。
広瀬の神社だけではなく、きっと私が知らないだけで、そういう風景がこの町のそこかしこにあるんだろうな。
杉に囲まれた神社で、大きく深呼吸。
こんなところに、ばあの気遣い
これも、ある日のこと。
池田町生まれのMさんとお話ししていた時、期せずしてこの町の風景を紐解くエピソードと出会いました。
それはMさんと、Mさんのおばあちゃんが春を迎えて一緒に畑仕事をしていた時のことです。
Mさんは、おばあちゃんがその辺の草花をせっせと用水路沿いの土に植えていることに気づきました。
「ばあに『何してるの?』って聞いてみたのね、そしたら用水路に土が流れ出ないように、こうして植えとくんだっていうの!私びっくりして。『ずっとやってるの!?』って聞いたら、『そうや〜毎年やってる』って」
用水路沿いに草花を植えるという決まりも何もないけれど、
春が来る度にMさんのおばあちゃんは自ら進んで、用水路を気にかけてそうしていました。
こんなところにも、ひとりのおばあちゃんがつくる町や誰かを想った風景がありました。
似たような景色は、日本の地方にいくつか存在しているかもしれないけれど。
直感的に池田町の風景が良いと思って、心を奪われた4年前。
移住理由を聞かれるたびに
「う〜ん、なんか良いと思ったんですよね」と答えるしかなかったです。
けれども1年間暮らしたことで、セイタカアワダチソウのこと、広瀬の石段手積みのこと、ばあの草花植えのことを知って「なんか」が鮮明になってきました。
池田町の風景は、ここで暮らす誰かが、この町や自然、人を想って手間をかけた風景なのだと思います。
そういう誰かの想いが、言葉で表さずとも、風景として伝わってくる。
だからこそ私は、池田町の風景に惚れ込んだのではないかと、今では思うのです。
まりこ
(本名 川上真理子)
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大都市で24年間をTO DO(したいこと)ファーストで
生きてきて、大学3年の時に自分の在り方の大切さ
に気づく。
ご縁がありたまたま出会った池田町での
素朴で等身大な人や自然に惹き付けられ
大学院卒業後、新卒無職で池田に移住。居候ちう。
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現在の活動はこちら👇
●池田町見習い人(めざせ何でも屋)
●一般社団法人の立ち上げ手伝い
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好きな食べ物)ちんころいも※池田町限定
現在、畑仕事や古民家改修により筋肉強化中。